家賃の袋を見るたびに、俺はため息をつく癖がついてしまった。
異世界に転生して二年。冒険者ギルドに登録して、なんとかCランクまでは上がった。薬草採取にゴブリン退治、たまに街道の護衛——どれも地味な依頼ばかりだ。報酬だってたかが知れている。
「今月もギリギリか……」
机の上に広げた銅貨と銀貨を数えながら、俺は首から下げた小さな鈴を無意識に指で転がした。チリン、と乾いた音が一つ。前世の妹が最後に握らせてくれた、ただ一つの形見だった。
家賃は月に銀貨八枚。俺の平均月収は銀貨十枚前後。食費と装備の修繕費を差し引くと、貯金なんて夢のまた夢。
(これはもう、ルームシェアしかない)

