漫画制作

12ページの企業向け漫画ができるまで|LP掲載の作例を題材に、企画から公開版までの工程を一部公開

公開日

「AIで作った漫画は、結局どこまで人が手を入れているのか」——発注を検討している方から、いちばん多く聞かれる質問です。この記事は、その答えを 実際に作った12ページ で示すために書きました。

ACGWORLDSの企業向け漫画制作のページに載せている12ページの漫画は、自社サービスを題材にして当社が制作したデモ作品です。企画書を書く→ストーリーを決める→登場人物3人の見た目を固定する→12ページの第1稿を作る→検品して描き直す、という順で進め、公開版に至るまでに全ページを8回以上作り直しました。実際のご依頼でも順序は同じで、ストーリーと制作に必要な全キャラクターが決まった後、第1稿を最短3営業日でご提出します。

この記事では、その作例を題材に「何を決め、何を作り、何を直したか」を順番に書きます。制作手法の中身ではなく、発注される方が工程を見通せるようにするための記事です。

企画書・登場人物の設定・12ページの原稿が並ぶ制作机(ACGWORLDSのイラスト)
企画書・登場人物の設定・12ページの原稿が並ぶ制作机(ACGWORLDSのイラスト)
作例12ページの一覧(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)
作例12ページの一覧(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)

企画書:誰が、何に困って、どう変わるか

最初に作ったのは1枚の企画書です。書いたのは次の4つでした。

項目決めた内容
目的営業資料の内容を、漫画だけで最後まで説明できる12ページにする。「漫画は読まれる」を作品そのもので示す
読み手会社の広報・営業担当者。漫画を頼もうか迷っている人
掲載先サービス紹介ページと営業資料。スマホでも読める縦の判型
12ページの割り導入(1〜2ページ)→困りごと(3〜4ページ)→提案(5〜8ページ)→制作の流れ(9〜10ページ)→結果(11ページ)→締め(12ページ)

ページごとに「このページで伝えること」と「決めゼリフ」を1行ずつ書き、作中に出す数字(基本料金・第1稿の日数・修正回数・検品項目数)は営業資料と一字一句同じにする、と決めました。数字が資料と食い違うと信用を落とすためです。

登場人物:見た目の固定条件を先に決める

登場人物は3人です。主人公の広報担当・芦原ひなた、上司の広報部長・轟大介、提案役の黒瀬一颯。それぞれについて、全ページで同じ人物に見えるための「固定条件」を文章で決めました。

左から、広報担当の芦原ひなた・提案役の黒瀬一颯・広報部長の轟大介(ACGWORLDSの作例の登場人物)
左から、広報担当の芦原ひなた・提案役の黒瀬一颯・広報部長の轟大介(ACGWORLDSの作例の登場人物)
登場人物見た目の固定条件
芦原ひなた主人公・広報担当黒髪のショートボブで右の一房だけ跳ねている。赤いフレームの丸メガネ。紺のパンツスーツに白シャツ、襟元に小さな赤いリボンタイ
轟大介上司・広報部長恰幅がよく角刈り。太い眉と口髭。ベージュのジャケット
黒瀬一颯提案役長身。前髪の右側に一房だけ白髪。チャコールの三つ揃いに赤いポケットチーフ

漫画で最も目立つ失敗は 「ページによって同じ人物が別人に見える」 ことです。メガネの形、髪の跳ね方、服の色といった目印を先に言葉で固定しておくと、描き直しのたびに戻れる基準になります。

実際のご依頼では、この工程はお客様が選ぶ形になります。ストーリー案と一緒に、登場人物ごとの顔を5パターン、それぞれ通常・驚き・笑顔の3表情で提案し、1案ずつお選びいただきます。

実際のご依頼では、登場人物ごとに顔の案を5パターン・各3表情でご提案する(ACGWORLDSの実例)
実際のご依頼では、登場人物ごとに顔の案を5パターン・各3表情でご提案する(ACGWORLDSの実例)

ストーリー:12ページの流れ

企画書の割りに沿って、12ページの流れを決めました。

ページ場面
1〜2電車の中吊りの漫画広告をつい最後まで読んでしまった主人公が、会議室で「うちの資料は読まれない」という上司の嘆きを聞く
3〜4漫画の効果を調べて提案するが、見積もりの高さと納期の長さ、何から頼めばいいか分からない壁にぶつかる
5〜8提案役が現れ、料金と日数、人が確認する工程、選べる絵柄を説明する
9〜10ヒアリングシートの記入から、登場人物の案を選び、第1稿を確認して修正を伝えるまで
11〜12完成した漫画が読まれている場面と、締め
作例1ページ目。企画書で決めた「電車の中吊りの漫画広告をつい読んでしまう」導入(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)
作例1ページ目。企画書で決めた「電車の中吊りの漫画広告をつい読んでしまう」導入(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)

1ページのセリフは3〜5個までに抑え、「必ず」「絶対」といった言葉は使わない、という決まりも企画の段階で置きました。

第1稿から公開版まで:実際に直した箇所

12ページの第1稿は通しで作り、検品してから直す、を繰り返しました。公開版に至るまでに全ページを8回以上作り直しています。直した箇所の例を挙げます。

作例7ページ目。「AIなら誰でも作れるのでは」という問いに、全ページで揃えることの難しさを描いた場面(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)
作例7ページ目。「AIなら誰でも作れるのでは」という問いに、全ページで揃えることの難しさを描いた場面(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)

検品:150項目で何を見るか

検品は、担当スタッフが全ページを150項目で確認します。項目の中身は非公開ですが、分野は次の8つです。

分野見ること
企画・ストーリー目的と読み手に合っているか、資料と数字が一致しているか
キャラクターの一貫性全ページで同じ人物に見えるか
作画の破綻手指、体の向き、背景の矛盾
コマ・構図読む順番が迷わないか
文字・読みやすさ欠け、誤字、フォントの崩れ
ブランド・商品の再現ロゴ、色、商品の形
権利・コンプライアンス既存作品との類似、肖像、表現規制
納品仕様サイズ、形式、解像度

NGが出た項目は修正してからご提出します。

作例12ページ目(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)
作例12ページ目(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)

ご依頼の場合との違い

この作例は自社の題材で作ったため、資料の事実確認や登場人物の同意は社内で済みました。実際のご依頼では次の点が加わります。

  • 作中に出す価格・仕様・手順の正式な値は、お客様の資料から取り、確認をお願いします
  • 実在の人物をモデルにする場合は、ご本人の同意をお客様側で取得・確認していただきます
  • 社外秘の資料をお預かりする場合、外部サービスへの送信範囲や保持・学習の条件は制作開始前に個別にご案内し、ご同意後に送信します。お預かりした資料や写真をAIの学習に利用することはありません

工程の順序と規模は同じです。

まとめ

よくある質問

作例の漫画は実際の顧客の案件ですか?

いいえ。ACGWORLDSが自社サービスを題材に制作したデモ作品です。登場人物と会社は架空で、顧客実績ではありません。

第1稿の前に何が決まっている必要がありますか?

ストーリーと、制作に必要な全登場人物のデザインです。この2つが決まった時点を起点に、第1稿を最短3営業日でご提出します(土日祝・お客様の確認期間は含みません)。

AIで作るなら、なぜ人が確認する工程が必要なのですか?

1枚の絵は速く作れても、12ページ全部で人物・文字・世界観を揃えるところに不自然さが出やすいためです。担当スタッフが全ページを150項目で確認し、NGは修正してからご提出します。

この記事の著者

ACGWORLDS株式会社

AI活用や漫画・映像制作の現場から、実務に役立つノウハウをお届けします。

AIの活用、一緒に考えませんか。

記事の内容について、御社の場合はどうなるか。専門用語なし・無料でご相談に乗ります。

無料で相談する →