AI漫画でキャラを固定する方法。顔だけの絵を渡すと、服がページごとに変わる

AI漫画を作り始めて、最初にぶつかるのが「ページごとにキャラの服や小物が変わる」問題です。顔はなんとなく同じなのに、1ページ目では締めていなかったネクタイを2ページ目では締めていて、3ページ目では色が違う。1枚の絵なら気にならなくても、漫画は同じ人物が何ページも続けて出てくるので、少しの違いが「別人?」という引っかかりになります。
当社は、ChatGPTの画像生成に同じ3ページを描かせ、添える絵だけを「顔だけの1枚絵」「全身の1枚絵」「設定画」の3通りに変えて比べました。その結果、顔はどれでもそろいました。一方で、顔だけの絵では服がそろわず、描いていないネクタイがページごとに色を変えて現れました。AIは、添えた絵に写っていない所を、その役柄に「ありがち」な姿で埋めていくのです。
この記事では、その比較の結果と、AI漫画でキャラを固定するための6つの手順、設定画の作り方をまとめます。
AI漫画でキャラが変わるのはなぜか
画像生成AIは、渡された指示(文章や画像)をもとに、1枚ずつ絵を作ります。指示や添えた絵に描いてある所は、その通りに描こうとします。一方、指示にも絵にもない所は、AIがそれらしく埋めます。
人物の見た目には、書き切れないほど多くの要素があります。髪型、顔立ち、体つき、服の色と柄、ネクタイ、靴、持ち物。文章で全部を書くのは現実的ではありません。そこで、見た目をまとめて伝えるために絵を添えます。問題は、その絵に「どこまで写っているか」です。
実験:添える絵を3通りに変えて、同じ3ページを描かせた
作例の漫画に出てくる3人(広報担当のひなた、広報部長の轟、営業の黒瀬)が全員登場する7・8・12ページを、ChatGPTの画像生成で描かせました(2026年9月・当社実施)。
- 指示文はすべて同じ 登場人物の目印と、コマごとの構図・セリフを書いたもの
- 添える絵だけを変える ①顔だけの1枚絵、②全身の1枚絵、③設定画(正面・横・背面の全身と表情3種)
- 3つの絵は、すべて同じ設定画から切り出したものです。違いは「絵に写っている範囲」だけです

指示文のうち、登場人物の見た目について書いたのは次の部分です。ネクタイの有無や色は、文章には書いていません。
| 人物 | 指示文に書いた目印 |
|---|---|
| 芦原ひなた | 黒髪のショートボブで右の一房が跳ねている・赤いフレームの丸メガネ・紺のパンツスーツに白シャツ・襟元に小さな赤いリボンタイ |
| 轟大介 | 恰幅がよく角刈り・太い眉と口髭・ベージュのジャケット |
| 黒瀬一颯 | 長身・前髪の右側に一房だけ白髪・チャコールの三つ揃いに赤いポケットチーフ |
設定画はこちらです。絵には、文章に書いていない情報(黒瀬は黒の無地のネクタイ、轟はネクタイなしの開襟など)も描かれています。

結果:顔はそろった。服は「絵に写っている所」だけそろった
同じ人物を、ページごとに並べて比べました。
| 見たところ | ①顔だけの1枚絵 | ②全身の1枚絵 | ③設定画 |
|---|---|---|---|
| 3人の顔・髪型・メガネ・口髭 | 3ページともそろった | 3ページともそろった | 3ページともそろった |
| 轟のネクタイ(設定画はネクタイなし) | 紺→グレー→緑と、ページごとに変わった | 3ページともなし | 3ページともなし |
| 黒瀬のネクタイ(設定画は黒の無地) | 3ページとも赤 | 3ページとも黒 | 3ページとも黒 |
| 頼んでいない持ち物 | なし | 7ページで黒いファイル | なし |
| 黒瀬の胸ポケットのチーフ(設定画は白・文章は赤) | 赤 | 同じページで白と赤が混在 | 赤 |
いちばん差が出たのは、轟のネクタイです。

顔だけの絵には、首から下が写っていません。そこでAIは、「部長」という役柄にありがちなネクタイを足し、しかもページごとに違う色で描きました。顔は3ページともそっくりなので、1ページずつ見ていると気づきにくいのが厄介なところです。
黒瀬も同じです。顔だけの絵では、3ページとも赤いネクタイを締めていました。全身の1枚絵と設定画では、設定どおりの黒いネクタイです。

全身の1枚絵でも起きたこと:頼んでいない持ち物と、絵と文章の食い違い
全身の1枚絵と設定画の差は、3ページの比較では小さなものでした。ただ、全身の1枚絵では次の2つが起きました。

1つ目は、頼んでいない持ち物です。7ページの1コマ目で、黒瀬が黒いファイルを手にしていました。営業の男性が部屋に入ってくる場面なので、これもAIが「ありがち」で足したものと考えられます。
2つ目は、胸ポケットのチーフの色です。実はこれは、当社の指示文の書き間違いがきっかけでした。設定画ではチーフが白なのに、文章には「赤いポケットチーフ」と書いていたのです。全身の1枚絵では、同じページの中で、1コマ目は白(絵のとおり)、2コマ目は赤(文章のとおり)と揺れました。設定画を添えた3ページでは、どのコマも文章どおりの赤でそろっていました。
どちらが優先されるかは、場面や道具によって変わる可能性があります。確実なのは、絵と文章を食い違わせないこと。絵を作り直したら、文章の目印も必ず見直します。
AI漫画でキャラを固定する6つの手順
実験の結果と、当社が作例の漫画を制作したときの工程をもとに、手順をまとめます。
設定画の作り方
設定画は、画像生成AIで作ることもできます。ChatGPTの画像生成なら、たとえば次のように頼みます。
出てきた設定画は、そのまま使う前に次の点を確かめます。
- 正面・横・背面で、髪型や服が同じになっているか
- 文章に書いた目印が、すべて描かれているか
- 文字や説明が絵の中に入っていないか(入っていると、漫画のコマにも文字が混ざることがあります)
気に入る1枚が出るまで何度か出し直し、決まったらその画像を「正」として、以降はずっと同じものを添えます。
設定画があっても、コマに落とすと細部と画風がぶれる
設定画を添えれば、1ページの中ではかなりそろいます。それでも、まだぶれは残ります。原因は、設定画と漫画のコマで、人物の描かれ方がまったく違うことです。
- 設定画 人物を大きく、正面・横・背面から、はっきり描いた見本
- 漫画のコマ 人物が小さく描かれる、引きの構図になる、斜めや後ろ姿になる、手前の物に一部が隠れる
コマの中で人物が小さくなるほど、設定画にある細かい所(髪の房の形、ネクタイの柄、ボタン、小物)は省かれたり、別の形に置き換わったりしやすくなります。線の太さや目の描き方、塗りの調子といった画風も、コマの大きさや場面によって揺れることがあります。
ページ数が増えると、このずれは目立ってきます。当社が12ページの作例を制作したときも、設定画を毎回添えたうえで、前髪の白い一房がページによって左右逆になる、同じ会議室の机の色が変わる、といったずれが検品で見つかりました。
1枚ずつ見ると気づかない違いも、全ページを並べると目に入ります。社外に出す漫画なら、最後の「並べて確認する」を省かないことが大切です。12ページをそろえるときに実際に起きたことは、AI漫画は自分で作れるのか?で詳しく紹介しています。
ACGWORLDSの場合
ACGWORLDS株式会社の企業向け漫画制作では、キャラクターの見た目を先に決めてから、漫画を描き始めます。
- 登場人物の顔を 5パターン×3表情 でご提案し、ブラウザ上で選んでいただきます
- 決まった人物は、衣装ごとにキャラクターシート(設定画)を作ります。この記事のサンプルとは違い、細部まで全ページで統一するための当社独自の工夫を加えています
- 全ページを担当スタッフが原寸で確認し、150項目の検品を通してからご提出します
料金は1〜12ページで基本料金100,000円(税別)。第1稿は、ストーリーと全キャラクターの決定後、最短3営業日でご提出します。
まとめ
よくある質問
AI漫画でキャラクターの服や小物がページごとに変わるのはなぜですか?
画像生成AIは、指示や添えた絵にある所はその通りに描こうとしますが、どちらにもない所はそれらしく埋めるためです。当社の比較では、顔だけの絵を添えると、描いていないネクタイが現れ、ページごとに色が変わりました。
AI漫画でキャラを固定するにはどうすればよいですか?
服まで写った絵(できれば正面・横・背面の全身と表情をまとめた設定画)を毎ページ添え、文章には目印を3〜5個、色と位置まで書きます。絵と文章を食い違わせないことも大切です。最後に全ページを並べて、髪・顔・服・持ち物を見比べます。
顔だけの絵を添えれば、キャラは固定できますか?
顔はそろいますが、服はそろいません。当社の比較では、顔だけの絵を添えた3ページで、設定にないネクタイが現れ、紺・グレー・緑とページごとに色が変わりました。服と靴まで写った全身の絵を添えてください。
ChatGPTで同じキャラクターを描かせるコツは?
全身が写った絵を毎回添え、文章には大事な目印だけを色と位置まで具体的に書きます。絵と文章が食い違うとコマによって片方が無視されるので、両者を一致させてください。左右の目印は「読者から見て右」のように書くと間違いが減ります。
AIで作った漫画のキャラクターを、全ページでそろえてもらうことはできますか?
ACGWORLDSでは、登場人物を5パターン×3表情からお選びいただき、衣装ごとにキャラクターシートを作って制作します。担当スタッフが全ページを150項目で検品してからご提出します。1〜12ページで基本料金100,000円(税別)です。
