漫画制作

AI漫画は自分で作れるのか?画像生成AIに「漫画を描いて」と頼んで分かった、代行に頼む前に知ること

公開日

「AIで漫画が作れるなら、自分でやれば安いのでは?」——その通りです。ツールを使えば月額数千円から作れます。そこでこの記事では、ChatGPTの画像生成に、登場人物の設定画3枚を添えて、場面とセリフを文章で渡し、「漫画を1ページ描いて」とだけ頼んで 、何が出て、何が崩れるかを実際に確かめました。コマ割りも文字の向きも絵柄も指定していません。当社の工程も使っていません。担当者が自分でやるときと同じ条件です。結論を先に言うと、1ページ約1分で、文字も読める漫画が出ました。そして、そのままでは社外に出せない箇所が7つありました。渡した指示文も、出てきたページも、そのまま載せます。

ACGWORLDS株式会社の企業向け漫画制作は、生成AIを制作工程に使い、担当スタッフが150項目で検品してから提出する受託サービスです。1〜12ページを基本料金100,000円(税別)で制作し、お預かりした資料や写真をAIの学習に利用することはありません。この記事では、自作と代行の違いを、実際の記録と失敗の例で説明します。

ばらつきのある漫画と、揃った漫画を見比べる場面(ACGWORLDSのイラスト)
ばらつきのある漫画と、揃った漫画を見比べる場面(ACGWORLDSのイラスト)

「自分で作る」を、そのまま再現してみた

もっともな疑問なので、条件を担当者が自分でやるときと同じにして、実際に試しました。使ったのはChatGPTの画像生成です。登場人物の設定画3枚(当社の作例の登場人物)を添えて、渡した文章は次のとおり。絵柄の指定なし、コマ割りや文字の向きの指定もなし。当社の作例と同じ題材で、7ページ目を2回、1ページ目を1回出しています。

出てきたもの。 7ページ目を同じ指示文で2回(A・B)、1ページ目を1回(C)出しました。赤い番号は、この下の「そのままでは出せなかった7つの箇所」の番号です。

A:7ページ目・1回目。赤い番号は下の一覧に対応(架空の題材)
A:7ページ目・1回目。赤い番号は下の一覧に対応(架空の題材)
B:7ページ目・2回目。指示文はAと一字一句同じ(架空の題材)
B:7ページ目・2回目。指示文はAと一字一句同じ(架空の題材)
C:1ページ目(満員電車の場面)。指示文の場面とセリフだけ差し替え(架空の題材)
C:1ページ目(満員電車の場面)。指示文の場面とセリフだけ差し替え(架空の題材)

正直に言うと、よくできています。1ページ約1分。日本語の文字はほぼ読め、設定画を添えたので3人の目印(赤い丸メガネ、白い一房、口髭)も出ています。大ゴマも集中線もあります。ここまでは「AIで自分で作れる」が正しい。

問題は、会社の名前で外に出す前提で見たときに始まります。

5の証拠:左がA(1回目)、右がB(2回目)。指示文は一字一句同じ。横書きが縦書きに変わり、名刺のロゴとキャッチコピー、掲示物、コマ割りが違い、Aだけ説明ラベルが混入した
5の証拠:左がA(1回目)、右がB(2回目)。指示文は一字一句同じ。横書きが縦書きに変わり、名刺のロゴとキャッチコピー、掲示物、コマ割りが違い、Aだけ説明ラベルが混入した

「AIっぽい」の正体:5つの目印

上の出力を「AIっぽい」と感じる理由は、絵の上手さではなく 紙の漫画の作法と、AIの既定の調子の違い にあります。以下は、自作する場合も代行の完成物を見るときも、見分けに使えます。今回の出力で目立つのは1と5(白と黒の骨格がなく、全ページが同じ密度)です。

目印AIの既定の調子で起きること人が描いた漫画の作法
白と黒がない画面全体が中間の明るさで、紙の白も締めの黒もない白・網点・ベタの3段で画面の骨格を作る
光がレンズ大事な場面が金色の放射グラデーションと光の反射で描かれる白い紙と黒い集中線で「光った感じ」を出す
背景がぼける奥の人物や建物がカメラのようにぼける奥は線を減らして描く。ぼかさない
全部の面にグラデーション壁・机・服・肌に平らな色の面が一つもない単色のベタ塗りの面がある
描き込みが均一12ページ全部が同じ密度で、余白がない見せ場に密度を寄せ、それ以外は捨てる
左が「自分で作る」のA(ChatGPTの画像生成に設定画3枚と指示文だけを渡した出力)、右がACGWORLDSの公開版。同じ7ページ目。右の注記はコマ設計の記録と照合したもの(架空の題材)
左が「自分で作る」のA(ChatGPTの画像生成に設定画3枚と指示文だけを渡した出力)、右がACGWORLDSの公開版。同じ7ページ目。右の注記はコマ設計の記録と照合したもの(架空の題材)

左(AIの出力)は色の面が全部中間の明るさで、右(公開版)は白い紙と黒い線と集中線で組まれています。コマ割りは、左は余白つきの格子で全コマが四角、しかも黒瀬が4コマ続けて同じ距離の正面です。

右の公開版は、登場・条件の説明・驚きを 3コマ で見せています。まず、上と左の紙端まで広がる大きなコマ(コマ設計上、3コマの面積の47.8%)で、二人の後ろ姿越しに扉に立つ黒瀬を捉え、登場の見せ場を作っています。次に下段右で顔や机上の名刺へ寄り、「一律、10万円です」という価格と「キャラクター決定から、3営業日で第1稿」という納期を一つの場面にまとめ、大きな金額表示に視線を集めます。最後は、上端を一段下げた左の縦長コマで二人を全身で跳ねさせ、「見積書の、3分の1……!」という驚きを見せています。縦書きのセリフと、上段から下段右、下段左へ進むコマ設計によって、説明を受け止めて反応へ移る「間」を作っています。

生成AIは、絵柄を細かく指定しないと既定の調子(アニメのCG映像風)で描きます。「上手いのにAIっぽい」の多くは、絵柄を指示していないことが原因 です。

12ページを揃えるときに、実際に起きたこと

上の再現は2ページだけです。12ページに増やすと、揃える難しさは掛け算になります。参考までに、当社の作例を制作したときに、検品で実際に見つかった不具合を挙げます(当社の工程での記録です)。

起きたことどこで読み手にどう見えるか
同じ会議室なのに、机の色が濃い茶色から明るい木目に変わった3ページ目と7ページ目「別の部屋?」と迷う
前髪の白い一房が、ページによって左右逆になった7ページ目と12ページ目別人に見える
吹き出しの日本語が欠ける・二重になる7ページ目(3回目でやっと採用)読めない。信用を落とす
目の表情が意図と違う8ページ目感情が伝わらない
看板や広告の文字が読めない状態だった2ページ目・4ページ目作り物に見える
書類の中身をAIが勝手に埋めた4ページ目(見積書の品目が資料と無関係な事務機器に)文章と絵が矛盾する

生成は1ページ約3分です。しかし 1箇所を直すと、そのページの他の部分も変わる ので、直すたびに全ページを原寸で見直すことになります。生成の速さより、この確認と直しの往復に時間がかかります。

作例7ページ目(公開版)。「AIなら誰でも作れるのでは」という問いに、全ページで揃えることの難しさを描いた場面(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)
作例7ページ目(公開版)。「AIなら誰でも作れるのでは」という問いに、全ページで揃えることの難しさを描いた場面(架空の題材によるACGWORLDSのデモ)

自作すると、担当者の仕事はどれだけ増えるか

上の7つの箇所を直すのは、誰の仕事になるでしょうか。依頼先ごとに置き直すと、こうなります。

仕事自分で作る(セルフ型ツール)個人の作家に頼む代行会社に頼む(受託)
費用の目安月額数千円〜1ページ1〜2万円が目安とする記事もある12ページ 30万〜100万円前後(公開価格換算・2026年当社調べ)
ストーリー・構成自社自社(作家が引き受ける場合も)制作会社
絵柄の指示と調整自社(出して見て直す往復)作家制作会社
人物・文字・事実・小道具の確認自社(全ページ原寸で)自社が中心制作会社(検品工程)
権利の確認・契約自社自社制作会社の規約と工程
修正自社(直すたびに再確認)回数・条件は個別回数・条件が明示される
向いている用途試作、社内の小さな用途原稿と編集役を社内で用意できる場合企画から任せたい、社外に出す、権利を持ちたい場合

自作が悪いわけではありません。社内向けの掲示や試作なら十分ですし、まず自分で触ってみると「何が難しいか」が分かります。難しさを知ったうえで、社外に出すものは代行に切り替える、という順番が現実的です。

人が確認する150項目:何を見ているか

当社の検品は、担当スタッフが全ページを原寸で150項目確認します。項目の中身は非公開ですが、分野と件数は次のとおりです。上で挙げた不具合は、すべてこのどれかに当たります。

分野件数
企画・ストーリー15目的と読み手に合っているか、数字が資料と一致しているか
キャラクターの一貫性20全ページで同じ人物か。目印(メガネ・髪・服)が保たれているか
作画の破綻20手指、体の向き、家具の構造、背景の矛盾
コマ・構図15読む順番が迷わないか
文字・読みやすさ20欠け、誤字、二重、フォントの崩れ
ブランド・商品の再現15ロゴ、色、商品の形、書類の中身
権利・コンプライアンス15既存作品との類似、肖像、表現規制
納品仕様10サイズ、形式、解像度

150項目は検品で見る範囲であり、すべての不具合をゼロにする保証や第三者の認証ではありません。NGが出た項目は修正してからご提出し、完成稿は透かし入りでご確認いただきます。

登場人物の顔の提案例。1つの案に通常・驚き・笑顔の3表情(ACGWORLDSの実例)
登場人物の顔の提案例。1つの案に通常・驚き・笑顔の3表情(ACGWORLDSの実例)

代行会社に依頼する前に聞いておく5つのこと

社外秘の資料を渡すときに確認する項目

営業資料や未発表の商品情報を渡す場合は、次の項目を制作開始前に確認しておくと安全です。

  • 送信先: どの外部サービス(生成AI・クラウド)に資料が送られるか
  • 処理国と保持: データがどの国で処理され、いつまで保持されるか
  • 学習への利用: 渡した資料や写真がAIの学習に使われないか
  • アクセス範囲: 制作会社の中で誰が資料を見るか。再委託はあるか
  • 削除: 納品後に資料をどう扱うか

ACGWORLDSの場合:AIの使い方と人の確認

項目内容
AIの使い方生成技術を制作工程に活用。使用するモデル名・ツール名は公開していません
人が確認する範囲担当スタッフが全ページを原寸で150項目(8分野)検品。NGは修正してから提出
完成前の確認制作中と完成確認時は透かし入りデータで確認。ご納得いただいた後に透かしなしで納品
資料の扱い外部サービスへの送信範囲・処理国・保持と学習の条件を事前に個別案内し、同意後に送信。学習利用なし
権利商用利用可。著作権は入金確認時に譲渡
料金と納期1〜12ページ 基本料金100,000円(税別)・修正2回込み。第1稿はストーリーと全キャラクター決定後、最短3営業日

「最短3営業日」の起点を「ストーリーと全キャラクターの決定後」に置いているのは、書いた通りに描くための準備と、全ページで揃えるための準備を、第1稿の前に終えておくためです。

まとめ

よくある質問

AI漫画は自分で作れますか?

作れます。ChatGPTの画像生成に登場人物の設定画と場面・セリフの文章を渡すと、1ページ約1分で文字も読める漫画が出ます。ただし読む順番が左から右、指定していない文言やロゴが作られる、同じ人物が揃わない、同じ指示でも毎回別物になる、絵柄がAIの既定の調子になる、といった直しが要ります。社外に出すものは、確認と直しの工程を誰が持つかで判断してください。

「AIっぽい」絵はどこで見分けられますか?

白と黒がなく全体が中間調、大事な場面が金色の光と反射で描かれる、背景がカメラのようにぼける、すべての面にグラデーションがかかる、描き込みが全ページ均一——この5つが目印です。生成AIは絵柄を指定しないと既定の調子で描くため、こうなりやすくなります。

生成AIだけで自動制作するサービスですか?

いいえ。ACGWORLDSは生成技術を制作工程に活用しながら、担当スタッフがストーリー、人物の一貫性、作画、文字、事実関係などを確認・修正し、150項目の検品を通してご提出します。

社外秘の資料を渡しても大丈夫ですか?

ACGWORLDSでは、お預かりした資料は制作目的の範囲で取り扱います。外部サービスへの送信範囲、処理国、保持・学習の条件を制作開始前に個別にご案内し、ご同意後に送信します。お預かりした資料や写真をAIの学習に利用することはありません。

AIを使った漫画は商用利用できますか?

ACGWORLDSの納品データはWeb、SNS、営業資料などに商用利用いただけます。著作権は入金確認時に当社からお客様へ譲渡します。具体的な利用範囲と納品形式は、お見積り・利用規約でご確認ください。

この記事の著者

ACGWORLDS株式会社

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