漫画制作会社の選び方|企業が依頼前に比べる5つの軸(作例・修正・権利・納期・費用)

漫画制作会社を3社ほど見つけたものの、どのサイトにも「高品質」「安心のサポート」「スピード対応」と書いてあって、違いが分からない。料金表も「1ページいくら」「一式いくら」と形がばらばらで、並べて比べられない——発注担当者がつまずくのは、たいていここです。
漫画制作会社は、作例・修正・権利・納期・費用の5つ を、同じ条件にそろえて比べると違いが見えます。ポイントは、宣伝の言葉ではなく「数字と条件」で比べること。「修正◯回」は何に対しての回数か、「最短◯日」はどこから数えるのか、「著作権譲渡」はいつ譲渡されるのか。同じ言葉でも、会社によって中身が違います。
この記事では、5つの軸それぞれで何を見て、どう聞けばよいかを整理し、コピーして使える比較表と問い合わせの質問リストをつけました。依頼先の種類(制作会社・個人の作家・AIツール)の違いから知りたい方は、先に企業で漫画制作を依頼するには?をご覧ください。

比べる5つの軸
まず全体像です。5つの軸それぞれで、「どこを見るか」と「どう聞くか」をまとめました。
| 軸 | 見るところ | 問い合わせでの聞き方 |
|---|---|---|
| 作例 | 自社と近い用途・ページ数・絵柄の作例が、全ページ見られるか | 「◯◯向けで、◯ページ程度の作例はありますか」 |
| 修正 | 回数だけでなく、何に対しての回数か・超えたらどうなるか | 「修正は何に対して何回までですか。超えた場合の料金は」 |
| 権利 | 著作権は譲渡か許諾か・いつ譲渡か・二次利用の範囲 | 「著作権はいつ、どの範囲で譲渡されますか」 |
| 納期 | 「最短◯日」の起算点と、確認期間を含むか | 「最短◯日は、何が決まった時点から数えますか」 |
| 費用 | 総額に含まれる工程・追加費用の条件・支払い時期 | 「この金額に含まれない作業は何ですか」 |
以下、順番に見ていきます。
1. 作例:自社と近い題材を、全ページ見られるか
作例は、絵のうまさより 「自社がやりたいことに近いか」 で見ます。
- 用途が近いか 採用、営業資料、商品説明、広告など、自社と同じ用途の作例があるか
- ページ数が近いか 1ページの見本と12ページの作品では、求められる力が違います。人物の顔や服を全ページでそろえる、話の流れを組むといった点は、ページ数が多い作例でしか確かめられません
- 全ページ見られるか 見栄えのよい1コマだけの見本では、話の流れや文字の読みやすさが分かりません
- 顧客の実績か、デモ作品か どちらも参考になりますが、区別して書いてあるかは誠実さの目安になります
- 絵柄の幅 自社の読み手に合う絵柄(カラー・白黒、写実寄り・デフォルメ寄り)を選べるか
2. 修正:回数だけでなく「何に対して」「超えたら」
「修正◯回まで無料」は、数字だけを比べると判断を誤ります。公開情報を見ると、修正の数え方は会社によって違います(2026年9月21日当社確認)。
- 工程ごとに回数を決める会社(例:ネーム1回・下書き2回・仕上げ1回)
- 原稿を出すたびに1回と数える会社(例:第1稿の後に2回まで。ACGWORLDSはこの形です)
- 「修正3回無料」のように、回数を前面に出している会社
確認したいのは次の3点です。
- 何に対しての回数か ストーリー、ラフ(下書き)、完成原稿のどの段階で直せるのか
- 「大きな変更」の扱い ストーリーの組み直しや登場人物の変更も回数に含まれるのか、別料金なのか
- 超えたときの料金 1回あたりいくらか、見積もりに書いてあるか
3. 権利:著作権は「譲渡か許諾か」「いつか」「どこまでか」
権利は、後から変えにくい条件です。公開情報では、著作権を発注者に譲渡する会社と、制作会社が持ったまま利用を許諾する会社の両方 があります(2026年9月21日当社確認)。どちらが正しいということではなく、自社の使い方に合っているかで判断します。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 譲渡か、利用の許諾か | 許諾の場合、使える範囲が契約で決まる |
| 譲渡の時点 | 「納品時」「入金確認時」など。時点より前に公開してよいか |
| 二次利用・改変 | 広告バナー、印刷物、動画、別の媒体に転用できるか。セリフや一部の絵を自社で直してよいか |
| 登場人物の扱い | 作ったキャラクターを別の案件や販促物でも使えるか |
| 生成AIを使った部分 | AIを工程に使う場合、その部分の扱いが契約に書かれているか |
| 実在の人物・商品 | 社員や商品を描く場合、同意や許諾は誰が取るか |
4. 納期:「最短◯日」はどこから数えるか
「最短3日」「最短5営業日」といった表記は、どこから数えるか で意味が変わります。
- 発注日から数えるのか、ストーリーや登場人物が決まった時点から数えるのか
- 営業日か、暦日か(土日祝を含むか)
- 発注側の確認期間を含むのか、含まないのか
- 「最短」は何ページの場合か
公開日が決まっているなら、その日から逆算して「いつまでに何を決めればよいか」を聞くのが確実です。発注側の作業と日数の組み方は、漫画制作の流れで詳しく説明しています。
5. 費用:含まれる工程をそろえてから比べる
費用は5つの軸の最後に比べます。「1ページいくら」の会社と「一式いくら」の会社は、そのままでは比べられないからです。
- ページ数と税表記をそろえる 同じページ数・税別に換算する
- 含まれる工程をそろえる 企画・シナリオ・キャラクターデザイン・作画・文字入れ・修正のどこまでが含まれるか
- 追加費用の条件を並べる 修正の超過、特急、大きな変更、印刷やWebページへの組み込み
- 支払いの時期を確認する 前払いか、着手時と納品時の分割か、納品後か
制作会社の公開価格を12ページ・税別に換算すると、30万〜100万円前後に分布しています(2026年8月27日当社調べ・4社・各社の仕様は異なります)。各社の内訳と見積もりで確認する項目は、企業向け漫画制作の費用相場にまとめています。
あわせて確認したい2つ:AIの使い方と、資料の扱い
最近は、制作工程に生成AIを使う会社が増えています。AIを使うこと自体が良い・悪いではなく、AIが描いたものを、誰が、何を基準に確認しているか を聞いてください。
- 確認の体制 人物の顔や服が全ページでそろっているか、文字の誤りや、頼んでいない文字・ロゴが入っていないかを、誰がどう確認するか。確認項目を公開している会社もあります
- 資料の扱い 社外秘の資料や写真を渡す場合、外部のAIサービスに送るのか、送るならどの範囲か、AIの学習に使われないか
AIで漫画を作るときに何が起きやすいのかは、AI漫画は自分で作れるのか?で、実際に出した結果と並べて説明しています。
用途別に、追加で確認すること
使い道によって、5つの軸に加えて確認したいことがあります。
| 用途 | 追加で確認すること |
|---|---|
| 広告(SNS広告・バナー) | 広告のサイズや縦横比に合わせた作り直しに対応するか。広告の表現が法令(景品表示法など)に合っているかは、広告を出す会社が最終的に確認します。制作会社がどこまで一緒に確認するかも聞いておきます |
| 漫画LP(Webページ) | 漫画の制作と、Webページの制作・公開を誰が担当するか。別の会社に頼む場合、画像の形式やサイズの受け渡しをどうするか |
| 採用・会社紹介 | 実在の社員を描く場合の本人の同意。退職した人が描かれていた場合の差し替えの扱い |
| 営業資料・パンフレット | 印刷する場合の入稿データ(解像度・色)を用意してもらえるか。印刷の手配は誰がするか |
比較表の作り方(コピーして使えます)
候補の会社を横に並べて、空欄を問い合わせで埋めていきます。空欄のまま残る項目は、その会社に確認が必要な項目です。
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 近い用途・ページ数の作例 | |||
| 作例は全ページ見られるか | |||
| 修正の回数(何に対して) | |||
| 修正を超えたときの料金 | |||
| 著作権(譲渡か許諾か・時点) | |||
| 二次利用・改変の範囲 | |||
| 第1稿までの日数(起算点) | |||
| 12ページ・税別の総額 | |||
| 総額に含まれない作業 | |||
| 支払いの時期 | |||
| AIの使い方と確認の体制 | |||
| 資料の扱い |
問い合わせで聞く質問リスト
比較表の空欄を埋めるための質問です。メールでそのまま使えるように並べました。
ACGWORLDSの場合
比較表の各項目に、ACGWORLDS株式会社の企業向け漫画制作の条件を当てはめると、次のとおりです。
| 軸 | ACGWORLDSの条件 |
|---|---|
| 作例 | 架空のサービスを題材にした12ページの作例(自社のデモ作品。顧客の実績ではありません)と、9種類の絵柄の見本を公開しています |
| 修正 | 第1稿の後、2回まで基本料金に含みます。第2稿・第3稿はそれぞれ3営業日が目安。第1稿からの大幅なストーリー変更やキャラクター変更は、追加費用をご相談する場合があります |
| 権利 | 商用利用できます。著作権は入金確認時にお客様へ譲渡します |
| 納期 | ストーリーと、制作に必要な全キャラクターが決定した時点から、第1稿を最短3営業日でご提出(土日祝と、お客様の確認期間は含みません) |
| 費用 | 1〜12ページで基本料金100,000円(税別)。企画・ストーリー・キャラクターデザイン・作画・文字入れ・修正2回を含みます。印刷・製本やWebページの構築は含みません |
| 支払い | ヒアリングシートの送信でご注文。注文時点で料金は発生せず、完成内容にご納得いただいた後に透かしなしのデータを納品し、請求書を発行します(納品月の翌月末まで) |
| AIと確認 | 生成AIを制作工程に使い、担当スタッフが150項目で検品してからご提出します |
| 資料の扱い | お預かりした資料は制作目的の範囲で取り扱い、AIの学習には利用しません。外部サービスへの送信範囲などは制作開始前に個別にご案内します |

まとめ
よくある質問
漫画制作会社はどう選べばよいですか?
作例・修正・権利・納期・費用の5つを、同じ条件にそろえて比べます。費用は最後に、ページ数・税表記・含まれる工程をそろえてから比べてください。候補を同じ表に並べ、空欄を問い合わせで埋めるのが確実です。
漫画制作会社の作例はどこを見ればよいですか?
自社と近い用途・ページ数の作例を、最初のページから最後まで通して読んでください。人物の見分けがつくか、読む順番に迷わないか、文字が読みやすいかを見ます。顧客の実績かデモ作品かが区別されているかも確認します。
著作権は譲渡と許諾のどちらがよいですか?
自社の使い方によります。広告・印刷物・動画などに転用したり、自社で手を加えたりする予定があるなら、譲渡か、それらを含む広い範囲の許諾が必要です。譲渡の時点と二次利用の範囲を、契約前に書面で確認してください。
マンガ制作会社に問い合わせるとき、何を聞けばよいですか?
作例(近い用途・ページ数のものを全ページ)、修正(何に対して何回・超えた場合の料金)、権利(譲渡の時点と範囲)、納期(第1稿までの日数の起算点)、費用(総額に含まれない作業と支払い時期)、AIの使い方と資料の扱いの6点です。
ACGWORLDSの修正・権利・納期の条件は?
1〜12ページを基本料金100,000円(税別)で制作し、修正は第1稿の後2回まで含みます。第1稿はストーリーと全キャラクターの決定後、最短3営業日でご提出します。商用利用でき、著作権は入金確認時に譲渡します。料金は完成内容にご納得いただいた後にご請求します。